健生堂コラム


生体内活性酸素(フリーラジカル)と病の関係について、
生体内活性酸素(フリーラジカル)と病の関係について、について、数回にわたり記述してみたいと思います。

どの様な場合に活性酸素(フリーラジカル)が発生するのでしょうか?
 体内に抗原であるウイルスや細菌が侵入した場合、キラーT 細胞由来のマクロファージ活性化因子であるインターフェロンγが働いて、補体が活性化すると共に、B 細胞由来の免疫グロブリンであるIgG 抗体が、補体を介して抗原であるウイルス、細菌を捕まえて抗原抗体複合体を形成し、この免疫複合体をマクロファージが貪食します。好中球の場合は、IgM抗体が、補体を介して抗原であるウイルス、細菌を捕まえて抗原抗体複合体を形成し、この免疫複合体を貪食するとされています。この貪食により酸化還元酵素が働いて、酸素から活性酸素(フリーラジカル)が発生します。
   体内に侵入したウイルス、細菌は、この活性酸素(フリーラジカル)とマクロファージ・
   好中球内のリボゾームという酵素の共同作用により殺菌されます。


           H₂O₂ + O₂⁻ ―――>⁻OH + ・OH + O₂
           「 O₂⁻ 、 ・OH 、H₂O₂が活性酸素(フリーラジカル)」

 生体内で発生した活性酸素は、生体内のSOD(スーパーオキサイドディスムターゼ)、および肝臓ではカタラーゼ・細胞内ではグルタチオンペルオキシダーゼなどの酵素で消去され無毒化されますが、何らかの理由で消去し切れなかったり、また、加齢により、これらの酵素の産生が弱まったりすると、その活性酸素(フリーラジカル)の悪影響を受けることになります。
 ここで注目すべきことは、この発生した活性酸素(フリーラジカル)は、ウイルス、細菌の殺菌に有効に作用する以外に、生体の40~60兆個ともいわれている細胞の細胞膜の不飽和リン脂質を酸化します。酸化されたリン脂質は二重結合を失い、細胞膜がやや硬くなり、細胞内と細胞外とのミネラルを含めた栄養物や酸素の流動性が減弱し、また、細胞内の老廃物の排泄が阻害されたりして、その結果、細胞内機能が破たんすることにより、免疫細胞を含む全身のあらゆる細胞・組織に障害を与え、老化を促進したり、種々の疾患を誘発する原因にもなるということであります。
 また、活性酸素(フリーラジカル)は、上記の細菌、ウイルス以外に、農薬、合成洗剤、トリハロメタン、工場排水などによる水質汚染物質や、食品添加物、化学薬品などの解毒代謝の過程でも誘発されます。
 これらの解毒代謝は、インターネット上のフリー百科事典「Wikipedia」によると、「薬物や化学物質の解毒代謝は、第Ⅰ相から第Ⅲ相に分類され、第Ⅰ相では、シトクロムP450などの酵素が、生体外物質に反応性官能基や極性基を導入するとされ、第Ⅱ相では、変換された化合物が、グルタチオン-S-トランスフェラーゼのような転移酵素によって触媒され、極性化合物と結合する。第Ⅲ相では、極性化合物との結合体が更に変換を受け、排出トランスポーターにより認識されて細胞から吐き出される。」と記されています。これらの解毒代謝の過程で活性酸素(フリーラジカル)が発生するとされています。
 タバコ、および大気汚染物質は肺組織で、紫外線は目、および皮膚組織で、直接に活性酸素(フリーラジカル)が発生し、白内障や皮膚癌の誘発に関与します。
 また、細胞膜のリン脂質の親水性の頭部に存在するホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルイノシトールなどから産生されるアラキドン酸から、滝のように代謝される反応(アラキドン酸カスケード反応)の過程のリポキシゲナーゼが関与する脂質代謝の途中にも活性酸素(フリーラジカル)が発生するとされています。
 またストレスの影響から分泌されるノルアドレナリンが活性酸素(フリーラジカル)を誘発するとされています。
 上記に羅列したような原因により、酸化還元酵素により酸素から活性酸素(フリーラジカル)を生じます。
 これらの活性酸素(フリーラジカル)は上記したように細胞膜の不飽和リン脂質を酸化して、細胞・組織の機能、および免疫機能にもダメージを与え、老化を促進したり、種々の疾患を誘発する原因になります。
 即ち、人は、酸素によって生命活動が維持され、酸素より生じた活性酸素(フリーラジカル)の影響で寿命が尽きる運命にあるということになります。
 この活性酸素(フリーラジカル)により何処の組織や臓器が影響され易いかは、個人毎の遺伝的傾向に左右されるのではないかと思われます。例えば癌や糖尿病などの病では遺伝的傾向がみられるとされています。
 これらの病を克服するために、遺伝子医療や、ノーベル賞の山中教授によるiPS 細胞(ヒト人工多能幹細胞)培養による再生医療の研究も進行中であります。

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